ぶっきんぐ!!
なんにもしなくても本がガバガバ売れる時代はもう終わったってこと。
消えて行く町の書店。全国の書店 6年間で20%減。1990年以降、書店の数は減り続け、3日に一軒閉店している計算になります。
(小学館 ぶっきんぐ!! 美代マチ子 著より引用)
【町の本屋のイメージは「使えない」】
あなたは町の本屋にどんなイメージをもっていますか。
・品ぞろえが悪い
・店が狭い
・話題の本が入ってこない
・取り寄せすると一週間とか届くまでにかかる
などではありませんか。
【町の本屋が消えている現状】
出版科学研究所によれば、2017年の出版市場は前年比7%減の1兆3701億円でした。1996年をピークに縮小傾向が続く出版市場。最後の砦だった人気漫画の単行本の販売額もとうとう13%減と初めて2ケタ減少しています。
書店も減っています。日本著者販促センターによれば、1999年に22296店あった書店は2017年に12526店になりました。ずばり、この19年間で9770軒の書店が消えています。
このままのペースで減っていくと、2020年には1万店を割るかもしれません。
書店が消えて行く原因は一体なんでしょう。消費者の本離れでしょうか。それともインターネット、電子書籍やスマートフォンの登場、海賊版サイトの横行でしょうか。
2000年からサービスを開始したインターネット販売のAmazonなら本が送料無料で。しかも早ければ翌日に届きます。またスマートフォンや電子書籍の登場も影響しているでしょう。スマートフォンが登場するまでは、電車の中で漫画を読んでいる人をよくみかけました。最近はみなスマートフォンをいじっています。
【ぶっきんぐ!!あらすじ】
2006年。美大を卒業したのに半年間プー太郎で人生迷走中の大國かの子が主人公。とある事件をきっかけに小さいころによく来ていた書店「光林堂」で働くことになります。
けれど店長は店番なのに居眠りばかり。万引きをされても気づかない。オーナーである父親が外国から帰ってくる一年後まで、店はもたないとあきらめています。
いつまでも夢をみて、努力しているのに報われないかの子は、いまの姿の自分と光林堂を重ねます。
「この店を、町一番の本屋さんにしてみせます!店長のお父さんが帰ってくるまでに」
店長に宣言するかの子。タイムリミットは一年しかありません。
【個人店は大型店の真似をしない】
光林堂で働きはじめたかの子は、小さな本屋の現実を知ります。大型書店のように売れる本を注文しても入荷しないのです。そもそも個人店が大型店の真似なんてできないのです。
店長がいいます。「逆に言えば、何も強制されることなく好きな本を置いてもいいってことになる」と。
かの子は考えます。大型書店と同じことをやってもだめだ。ならば自分たちの好きな本や勧めたい本を入れて売り場をつくり、自分たちだけの本屋さんにしよう!と。
ホビーショップでも「人気作品」「バ○ダイ商品」「人気ゲームソフトやハードウェア」「数量限定品」が入荷しなかったり、減数(数を減らされること)されるなんて日常茶飯事です。だからといって大型店と同じ仕入れはできませんし、ましてや値引き競争も付き合えません。
ならばできることは限られます。大型店と同じことができないのであれば、同じことをしなければいいのです。逆に大型店が真似をしたくなるようなことをしましょう。
お客様が知らない、商品の存在に気づいていない商品を仕入れ、並べ、コーナーを作ってPOPで訴求する。
たまたま売れた!のではなく、自分の力で売った!
ホビーショップならば、そう言える店と売り場を作りましょう。
【古い業界を変えるのはヨソ者、バカ者、若者】
本には再販制度があって、出版社が決められた価格以外では売ってはいけない法律があります。だから勝手にセール(安売り)ができません。
なによりも本で価格競争がおこったら小さい書店はすぐに潰れます。本の利益は週刊少年ジャンプを1冊売って約50円しかないからです(2006年当時で22%の利益)。利益が低い分、売れなかった本は出版社に返品すればお金が返ってくる、一長一短の制度ではあります。
まあ、ホビーショップは問屋からの買い取り制なので、売れないと在庫(罪庫)になり、書店よりもキッツイのは本当のところ。
どうしたら本が売れるか。悩むかの子。そんなとき、幼馴染がいる駄菓子屋のおばさんに駄菓子をオマケしてもらいます。引くのではなく、足す。かの子のオマケをヒントにした販促で本はたくさん売れました。
かの子は思います。「今までと同じことをやっててもダメ」「今までと違うことをしなければ」と。
古い常識に凝り固まった業界を変えるのは、昔からヨソ者、バカ者、若者といいます。未経験だから、素人だからこそできること、やれることはあるはず。
インターネットやスマートフォン、ネット通販の普及はホビー業界にも変化を促しています。店も新たな挑戦をしなければ生き残れない時代がきています。
【まとめ】
その後、かの子は書店のある地域の作家をみつけサイン会をしようと頑張ります。ここからの展開は「まさしく漫画」です。
しかし、インターネットとSNSの普及によって一個人と作家はつながることが可能になりました。出版社や担当を通さずに・・です。ここから先はあなたがやり方を考えてみてください。
ビジネスや人生でうまく行かない人は「だから○○できない」と考えます。失敗の原因を自分でなく、世間や周囲に押しつける癖があります。
ぶっきんぐ!!は「○○だからできない」を「どうしたら○○できるか」と考えるきっかけと心構えをくれる一冊です。