後継者不足で廃業する店を買収しよう
2017年、全国で約8400件の企業が倒産しています。倒産の理由は「借金が返済できない」が基本です。ただし、この8400件の倒産には自分の意思で会社をたたむ廃業は含まれていません。
毎年、多くの中小企業が廃業しています。個人のホビーショップの場合、廃業の理由のひとつに後継者不足があります。
・店を継ぐ子供がいない
・子供はいるけれど継ぐ意思がない
・従業員はいるけれどやりたがらない
何年も店をやってきて地元で知らない人はいない。固定客も相当数いる。雑誌やテレビで紹介されたこともある。未完成な店ではなく、すでにできあがっている完成された店を買収するメリットやデメリット、方法をここではお教えします。
ちなみに買収の意味は「買い取ること」です。
【既存店を買収するメリット】
すでにある店を買い取るメリットは「知名度」と「固定客」が手に入ることに尽きます。
ずっとその場所で商売を続けていることは地域の人なら知っています。それだけ集客する手間が省けます。長く営業していれば、とうぜん固定客(常連客)もいるでしょう。既存店を買い取ることは、その知名度と固定客をまるごと手に入れられることと同じです。
ただし既存店を買い取る場合、取り扱う商品を大きく変更することはおススメしません。できません。
たとえば鉄道模型の専門店をフィギュアショップにしてしまうようなことは絶対にやめましょう。ミニカーショップをガンショップに、模型店をゲームショップにする、デフォルメフィギュア専門店をスケールモデル専門店にするのも・・・です。
もともとあった店のイメージを変更するために新たに宣伝・集客しなければなりませんし、固定客(常連)が離れる危険性があります。
【既存店を買収するデメリット】
個人店の場合、店主の個性がそのまま店のカラーになります。店の品ぞろえよりも店主の個性や接客態度に惚れたお客様は、あなたが店主になったら離れるかもしれません。
あとは迷惑な固定客の存在もそのまま引き継ぐことになります。予約しても平気でキャンセルをする。何度も買わないのにやってきて長居する。買うことよりも何度も顔を出すことが常連だと勘違いする。こんな迷惑な人間は、経営者が変わると同時に切りましょう。乞客は切るのが基本です。予約もよほどの常連客以外は前金で全額入金方式に変更します。
前の店のイメージが強烈に残ることもメリットでありデメリットになります。同じ商品を扱うのであれば強力なメリットになりますが、違う商品を扱うとデメリットに早変わりすることに注意が必要です。廃業する店を買収するときはできるかぎり同じ商品を扱いましょう。
【お店が潰れる前兆】
お店には閉店する前兆が必ずあらわれます。常日頃からアンテナを立てておき、完全に閉店する前に買収を提案してみましょう。
たとえば以下のような前兆があります。
・店主が将来のことを語らなくなる
・店に活気がない
・エアコンや照明、レジなど壊れた備品をそのままにする
・ツイッターやブログの更新頻度が下がる
・理由なく休みが増える
・新しい商品が入荷しない
・安売りセールをはじめる
>>店主が将来のことを語らなくなる
潰れる店には未来がありません。店主が半年から来年のことを語らない、返事を濁すようになります。
>>店に活気がない
とうぜんモチベーション(ヤル気)がなくなります。いらっしゃいませの声が小さくなったり、接客がおざなりになります。
>>エアコンや照明、レジなど壊れた備品をそのままにする
金がないこともありますが、将来のない店に金をかけなくなります。
>>ツイッターやブログの更新頻度が下がる
これもモチベーションの低下によっておこります。
>>理由なく休みが増える
モチベーションの低下もありますが、店を維持するに店主が就職・アルバイトをします。
>>新しい商品が入荷しない
仕入れる金がないため、新商品が入りません。売り場に変化もありません。
>>安売りセールをはじめる
金も欲しいし、店内に商品を残してもしかたないので安売りをはじめます。
【既存店を買収する方法】
個人のホビーショップが廃業する理由はいくつかあります。年齢で体が大変、気力が尽きた、無理ができない、後継ぎがいない、金がない、地震など天災の被害にあって立ち直れない、等。
あなたが最初にすべきは買収したいお店を探すこと。自分が扱いたい商品を売っている店をみつけてください。そして、そのお店の「良いお客様になる」ことです。何度も行って、そのたびに買う。自分のツイッターやブログでお店を宣伝し応援する。友達を紹介してもいいですね。
店主と信頼関係を築きましょう。お店を継ぐ、買収するにしても店主に信頼されなければスタート地点に立つことはできません。店主と仲良くなったら「いつか、こちらのようなお店をもつのが夢です」と打ちあけます。あとはチャンスを待つだけ。もちろん働いて資金を貯める、インターネットで販売するなどの準備を忘れてはいけません。
仮にその店を買収できなくても、あなたに売るスキルが身についていれば自宅で開業すればいいだけなのですから。
【一緒に働くメリット】
買収する準備ができたら、一定期間は元の店主と一緒に働きましょう。
どんなことにも表と裏があります。外からみれば経営が順調でも、中に入れば火の車ということもあるからです。とうぜん見ているのとやってみるのと大違いなんてこともたくさんあります。
元の店主と一緒に働くことで見えてくるものがあります。
・問題点
・お客様
・その店で売れるもの、売れないもの
・利益率
などです。
何年も売れない時代遅れの商品の在庫が山ほどある。しかも売れない商品が店頭入口の一等地の売り場を占領している。そこで商品の置き方や展示の仕方を変更したり、商品の魅力を書いたPOPを貼ってみる。
店は立地やお客様によって売れるものが違います。
あなたのものになる店の売れる商品と売れない商品の傾向を知っておきましょう。人気がなく動かない利益の低い商品より、人気があり動く利益の高い商品にシフトすることも必要です。
何度もきて長居して常連ヅラするくせに買わない迷惑な困ったチャンの存在を知っておき、あなたが店主になったら切ります。いつも買ってくれる常連様の顔と名前を覚え、あなたの顔と名前を覚えていただくことも大切な仕事です。
【店は賃貸または持ち家がいいか】
家は買ったほうがよいか、賃貸がいいか。尽きることのない論争です。わたしは家賃がかからないから店や自宅は買ったほうがいいと考えます。
あなたは定年をむかえ年金を月に15万円もらったとします。持ち家ならば毎月の家賃はかかりません。5万円あったら美少女フィギュアのスケールモデルなら3体から4体仕入れられます。しかし家賃を5万円払ったら残りの10万円で生活しなければなりません。
廃業する店舗が持ち家だった場合、可能であれば家ごと買ってしまうほうがあとあと経営も楽になります。
【個人の飲食店が生き残れる理由とは】
町のどこにでも夫婦が経営する定食屋や中華料理屋といった飲食店があります。味は美味しいところもあれば、それほど美味しくなくても何十年と生き残っています。
そんな小さな飲食店が生き残っている理由は、持ち家であること。
自宅兼店舗なので固定費の家賃がかかりません。さらに夫婦や子供、親が手伝えば人件費もほとんどかからない。さらに飲食店なので食費も浮きます。電気・ガス・水道などの光熱費も節約できます。