小さな会社の稼ぐ技術(開業に役立つビジネス書)
【ランチェスター戦略とは】
ランチェスターの法則とは、戦争を数値化したもの。自分と敵の戦力を分析し「この条件で戦えば、結果はほとんどこうなる」ということがわかる法則です。
第二次世界大戦中、米国がこの法則を活用して大きな成果をあげました。この法則をビジネスに応用したのがランチェスター戦略です。
ランチェスター戦略を経営に活かしている経営者は
・孫正義(ソフトバンク)
・澤田秀雄(ハウステンボス、旅行会社のHIS)
・小山昇(武蔵野)
がいます。
小さな会社の稼ぐ技術は、このランチェスター法則をビジネスに応用した一人である経営コンサルタント・竹田陽一さんによる「弱者の戦略」を徹底活用する方法を教えてくれるビジネス書です。
【戦略と戦術のちがい】
戦略と戦術。文字や響きは似ていますが、中身はけっこう違います。
スポーツの野球なら、戦略(作戦)をたてるのは監督の仕事です。監督はゲームに勝つための作戦や選手の采配を決めます。戦術は野球でいえば選手にあたります。ピッチャーは球を投げ、バッターは球を打つといった監督がきめた作戦を実行します。
ラーメン屋は、店長が戦略で店員が戦術にあたります。店長は、お店の仕入れや店員の面接など経営全般を考えます。店員はラーメンを作ったり、洗い物や清掃をします。
ホビーショップ。とくに一人店長のところは、店長(オーナー)が自分で戦略を考えて自分で戦術(実行)します。
【小さな会社のよくある誤解】
ホビーショップにかぎりませんが、小さなお店や会社にはたくさんの誤解があります。
以下の質問に「はい」か「いいえ」で答えてください。
・店舗は駅前などの一等地に出すべきだ
・お客様に来てもらうために、たくさんの商品を扱う
・田舎より都会のほうが売れる。だから都会に出店しよう
・商品の品ぞろえをよくすれば売れる
・リスクを分散させるために、あれこれやれ
・大手チェーンと同じ売り方をすれば売れる
・商圏はとにかく広くすべし
・売れるなら、配達など時間がかかっても移動をしよう
小さな会社の稼ぐ技術では、答えはすべて「いいえ」でした。
【大手と同じことをやっても勝てない】
あなたは本やクリアファイル、キーホルダーなどアニメグッズを売る店をはじめたいと考えました。理想はアニメイトのようなお店とします。
・駅前などの一等地に店をかまえ
・店舗面積は広く
・店員も多く
・商品数も多い
・店内はキレイ
・オリジナル商品や特典も多数ある
少し考えればわかりますが、個人でアニメイトさんと同じショップなんてとてもできません。お金がかかりすぎます。
たとえアニメイトと同等のショップを開いたとしても続けるのは簡単ではありません。じっさい、わたしの住む静岡県でも似たような店がオープンしては消えました。
個人が大手と同じことをやっても勝てません。巨大なゾウにアリが正面から戦いを挑むようなものだからです。
【ソフトバンクだって最初は一点集中だった】
いまでは有名なソフトバンクやHIS(エイチ・アイ・エス)。知らないひとはいない大企業です。けれど創業は数人からはじめています。
ソフトバンクは創業から10年はパソコンソフトの卸売業に一点集中しました。HISは商品を海外格安航空券に、客を学生や個人に絞り海外旅行の分野で1位になりました。アサヒビールもスーパードライに一点集中して、キリンビールに大逆転しています。
弱い個人店こそ、一点集中する弱者の戦略をしましょう。
【ホビーショップにおける一点集中】
・商品を絞る
・地域を絞る
・客を絞る
この3点が一点集中のポイントです。
>>商品を絞る
あなたの店がある地域で一番になれる商品に絞ります。あれもこれも並べずに、これ!という商品に絞り、○○ならあそこの店!と言われるようになります。
>>地域を絞る
小さなところで一番になるために、地域を絞ります。目指すは地域で一番。
>>客を絞る
たとえば1円でも安く欲しい人は大手やネット通販に任せます。いくら欲しい気持ちが強くても、買えないのであれば切りましょう。
【まとめ】
個人店が生き残るためには、商品・地域・顧客を絞り、勝てるところに一点集中する。その必要性が痛いくらいに伝わります。
ソフトバンク、HIS、やずやなど、よく知っている社名と豊富な具体例が紹介されるため納得できます。
個人が店舗をかまえるのであれば、開業前にこの本を何回も読んでおきましょう。