最強の農起業! ブルーベリー観光農園で失敗しない農業経営
Amazon地域農業カテゴリでベストセラー1位、畔柳茂樹(くろやなぎ・しげき)さん著「最強の農起業! ブルーベリー観光農園で失敗しない農業経営」を読みました。
起業といっても、農業とホビーショップに関連性はないと考えがち。
けれど、どんなビジネスでも共通することが多くあります。たとえ1つでも2つでも自分の商売に役立てられることがあれば、それだけで本というものは読む価値があります。
【最強の農起業 あらすじ】
著者は20年間勤務したデンソーを辞め、ブルーベリーの観光農園「ブルーベリーファームおかざき」をはじめました。それから10年、営業日は60日あまりにもかかわらず年収は2000万円を超えています。
正社員は著者ひとり。あとはアルバイトのみ。
農業というとキツイ、長時間労働、儲からない、と考えがち。著者の成功の秘密は「効率化」「直接販売」「ITの活用」でした。
【売る商品の選び方】
著者は農業が好き。でも、ブルーベリーが大好きでブルーベリーファームを始めたわけではありません。では、なぜブルーベリーを商品として選んだのか。
・ほぼ無人栽培が可能(生産性が高い、手間がかからない、機械化が可能)
・集客力がある(もっとも長い行楽シーズンの夏休みに売れる作物である)
・観光農園にすれば収穫の手間がなくなり、利益も圧迫されない
でした。
時間がかからず、売れる、そのうえ利益がしっかりとれる。まずそこからスタートしています。
これからの商売は売れる、利益がとれる商品やサービスを扱わなければ、続けるのは難しいことは、わたしが説明するまでもないでしょう。
自分が好きだから、完成度が高い・・・という理由で、利益が5%しかない美少女フィギュアを売っているフィギュアショップ、大会の参加費200円を払いたくないと文句をいうフリーライダー(ただ乗り)ばかりのトレカショップのオーナーは耳が痛くありませんか。
【理念、戦略、ブランディング】
著者は農園を開園するにあたって、どんな農園にしていくかをじっくり考えています。
・最高品質のブルーベリーを提供する
・ブルーベリー狩りという新しい価値を創造する
・おもてなし農業を実践する
の3つが進むべき方向性になりました。
ホビーショップであれば、最高の品質の○○を提供する、○○のある生活を提供する、となります。
また戦略では、ブルーオーシャンやランチェスター戦略の名前がでてきたり、ライバルと戦わないことを基本戦略としています。じっさい団体客を断り、個人客専用の農園にすることで自分の理想とする農園に近づけたうえ、ブルーベリー狩りを本当に楽しみたい人だけを顧客に選んでいます。
【ポジショニングを明確にする必要性】
ポジショニングとは、自分の店がどんな位置づけでいるか・・・を決めること。商品の特性、価格、顧客属性の3つから考えます。
安売りで回転率を狙うのか、高値で売って質のよい客を集めるのか。結果的に、どんなお客様に来てほしいのか、が明確になります。
著者は団体客を断り、値下げもしません。一度ミスで団体客を受け入れたらとんでもないことになりました。値下げをしたら、あきらかに客質が落ちたうえクレームも頻発しました。
質の悪い人間を客にすると、トラブルばかり発生します。
さらに最近は客でもない人間が増えています。スマートフォンの普及で、小学生でもホビーの相場チェックや個人間取引が容易にできるようになりました。インターネットのない昔なら、ホビーを買うのは店という選択肢しか、お客様にはありませんでした。
ところがパソコンやスマートフォンの普及によって、商品を売買するのはネット。実物を見たり、店員と話をしたり、暇つぶししたり、カードならデュエルスペースを無料で使うのは店舗という構図になってしまいました。
100円のコーヒーさえ注文せず、マクドナルドの席に座ってカードをプレイする。何も注文せず商業施設のフードコートの席を長時間占領する。他店で買ってきた商品を何も注文せずテーブルに広げ飲食を始める。こんな信じられない光景を見たことありませんか。
彼らにとって、あなたの店は無料で楽しめる都合のよい場所と考えられています。
ホビーショップは「商品やサービスを売買する場所である」「買ってくれる人だけがお客様」「無料を求めるのなら、友達の家か公園に行ってくれ」などの意識変革をしなければ生き残れない時代になりました。
【インターネットを活用した集客術】
このホームページでも無料、または格安で活用できるネット集客をすべしと推奨しています。
著者もホームページ、ブログ、メルマガ、フェイスブック、インスタグラム、リスティング広告を活用しています。リアルの宣伝方法では、プレスリリースやメディア向け内覧会が参考になります。
集客は一度で成功することはなかなかありません。あきらめず、ダメなところを改善しながら続けることが大切です。
【まとめ】
Amazonのレビューを拝見したところ、評価の低いひとのコメントに「著者は親から受け継いだ農地があったからできたこと」「土地探しのハードルが高すぎる」「初期投資がいくらあっても足りない」といったネガティブな内容がありました。
人間は生まれた時から平等ではありません。配られたカードで勝負するしかないんです。自分が持っていないからといって、ビジネスができない理由にはなりません。
たとえ親からもらった農地があっても、やらない人はやりません。やっても成功できない人はたくさんいるでしょう。もう、できない理由探しはやめませんか。
この本のさいごに「好きなことを仕事にする10か条」があります。農業やホビーショップに限らず、起業したい人は読んで損のない一冊です。