ぼくは愛を証明しようと思う。
イケメンや金持ちより、単に他の女にモテている男がモテる、という恐ろしい事実だ。これがモテスパイラル現象と言われるものだ。
モテているから、よりモテる。
すごいことはイケメンでなくても、金持ちでなくても、たとえブサイクでも女性にモテていればモテるんです。
あれれ・・・これって「売れるお店がより売れる」「売れる営業マンは、さらに売れる」のと同じだよな・・・。
藤沢数希さんの「ぼくは愛を証明しようと思う。」のコミックス版を読んだとき、わたしが素直に感じたことでした。
【人は人気のあるところに集まる】
さっそくですが、ここに小さなプラモデル屋さんがあります。
一つ目の店は、今にも潰れそうな汚い店舗で照明も暗い。外から店内も見えず、お客さんもいなさそう。店に入れば、やたら愛想のいい店主が「待ってました!」とばかりに近寄ってきて、売り込みをはじめました。
二つ目の店は、古いけれど小ぎれいな店舗で照明も明るく外から店内がよく見えます。常連さんらしきお客様と店主が楽しそうに話しています。これなら店に入っても声をかけられる心配をせずにゆっくり商品が見れそうです。
さて質問です。あなたはどちらのプラモデル屋に入りたいですか。
後者ですよね。
お店にかぎらず、祭りやイベントなど人は「人の気配(ひとけ)」があるところを好みます。
人がたくさんいるところは、人気(にんき)があるんです。オープン直後の飲食店がサクラを雇い、行列を作ることからも証明されています。
ホビーショップのような小売店の場合、売りつけられたくない人はひとけのない店を敬遠しがちです。
【客の前ではヤセガマンが必要】
モテているからモテる。つまり女性の前ではモテていなくても「俺はモテてモテてしかたない」という顔をする必要があります。逆に「俺には君しかいないんだ!」という一途な想いや行動(非モテコミット)を女性は嫌います。
これもホビーショップであれば、たとえ売れていなくても。その日の売上が0円でも「売れて売れて仕方ない」という顔をしなければいけません。まちがっても「今日、売上ゼロなんです!だから買ってください!」なんて顔やそぶりをしてはいけません。
これはわたしの経験ですが、売上が少ないときにあせって接客して売れたためしがありません。
閉店間際にはいってきた「明らかに暇つぶし」の人間に愛想をふりまき、閉店時間を過ぎても世間話の相手をして売れず、心も体も疲れ果てるのがオチ。
逆に「ここは店なので、買わないならいつまで長居せずに早く帰ってください」という対応をした時のほうが売れます。
【商品はアナタ自身】
ホビーショップの商品は、ホビーそのもの。けれど、わたしたち店主は商品と一緒に自分自身も売っています。
だから、たとえインターネットなら半額で購入できるフィギュアでも、わたしの店にわざわざ来て、定価で買ってくれる常連さんがたくさんいます。
つまり、アナタ自身が商品です。
お客様はアナタを買っています。だから、絶対に安売りしてはいけない。時には「売らない」という選択肢をしなければいけません。
・他のお客様に迷惑をかける
・店の雰囲気を悪くする
・明らかに買うつもりがない(万引き、世間話が目的)
そんな困ったチャンには売らなくていい。早く帰っていただきましょう。
【まとめ】
恋愛と接客は似ています。いいえ、ほぼ同じです。
ぼくは愛を証明しようと思う。の主人公「わたなべ」はモテず、彼女には二股をかけられたうえ30万円の高級バッグを貢がされて捨てられます。
偶然出会った永沢に恋愛工学を教わり、行動し、モテていく「わたなべ」。とうとう最上級の女性まで手に入れます。まあ、そこで終わらないのが物語の良いところ。
恋愛も接客もテクニックだけでは成功しません。けれど、ホビーショップならテクニックを知ることで、明らかに買わない人間に時間を奪われることは少なくなります。
お客様のことだけを考える。誠心誠意努力する。心を尽くす。決して悪いことではありません。むしろ、良いこと。
・・・でもね、結果(売上げ)がなければ店は潰れるんですよ。
売れる店は、さらに売れる。この本は、それを教えてくれます。