ポリフェノールが多い食品で健康を維持する
自営業者は、体が資本です。
健康第一。どんなにヤル気があっても、体が動かなければ店を開けることはできません。
わたしは定休日と営業時間を決めたら、たとえ親が死んでも店を開ける覚悟でやっています。お客様にとって、営業日と営業時間は「やっているのが当たり前」だから。
ゆえに開業してから10年間、定休日と事前に告知した休業日以外でお店をあけなかった日はありません。それだけの気合いでやってきました。
けれど世の中、ヤル気や気合いだけではどうにもなりません。風邪をひくかもしれません。インフルエンザに感染するかもしれません。でも免疫力があれば、風邪やインフルエンザに感染しても発症せずにすんだりします。
そこで重視したのが、免疫力をあげる食事です。食事は人間を作るから。口に入れるものはとにかく健康に役立つものを選びました。
ここでは野菜や果物が過酷な自然から身を守るために持つ色素・ファイトケミカルについてお話します。
【ファイトケミカルとは】
ファイトケミカル、またはフィトケミカルとは「植物に含まれる化学物質」のこと。
野菜や果物は、その場所から動くことができません。常に強い紫外線、風雨にさらされ、虫の毒からも逃げられません。だから植物には外界からの攻撃を守るための防衛システムが備わっています。それがファイトケミカルです。
ファイトケミカルは、植物を攻撃する活性酸素(フリーラジカル)を中和する抗酸化物質です。活性酸素は人間の体を老化させます。錆びさせるといったほうが伝わるでしょうか
活性酸素を打ち消して、体を若返らせてくれるのがファイトケミカルです。
ファイトケミカルには、いろいろな種類があります。
・リコピン(トマト)
・ポリフェノール(お茶、ココア、コーヒー、キウイなど)
・イソフラボン(大豆)
・アントシアニン(ブルーベリー)
わたしがおすすめするファイトケミカルは、簡単に入手できて価格もお手ごろ。さらに効果も期待できるお茶、コーヒーやチョコレート、キウイに多く含まれるポリフェノールです。
【チョコレートで健康になろう】
チョコレートと聞くと、太る、虫歯になる、健康に悪い・・。そんなイメージをもっている人が多いと思います。実はわたしもその一人でした。
でもね。いろいろな研究でチョコレートが健康に良いことがわかってきたのです。
たとえば、埼玉県戸田市の戸田中央総合病院には「嗜好品外来」があります。ここでは食品で生活習慣病を予防しています。この嗜好品外来の主役は、チョコレートなのです。
チョコレートの研究・論文は以下のようなものがあります。
・血圧が下がる
・心臓病に罹患するリスクを下げる
・チョコを食べているティーンエイジャーのほうが細身だった
・チョコを食べているひとのほうが長生きする
・脳卒中のリスクを減らす
・食事前に食べると食欲を減退させる
重要なのはチョコレートにもいろいろあるってこと。ミルクや砂糖がガンガンはいったミルクチョコレートと、ほとんど原料のカカオだけで混ざりものがないダークチョコレートは、同じチョコレートでも別物と考えてください。
健康のためにチョコを食べるならカカオ分が70%以上の高カカオチョコレートを食べましょう。わたしが食べているのは、カカオ分が100%の高カカオ・チョコレート。適量は、1日25グラム(大東カカオ・クイックメルトは1枚2.5グラム)です。
チョコレートや原料のカカオにはカフェインが含まれているため、興奮して眠れなくならないよう、あまり夜遅くは食べないほうがいいでしょう。ダイエット目的なら食事前にチョコを口にすれば食欲も抑えられます。
ポリフェノールは尿で体外に排出されてしまうため、朝・昼・晩の3回に分けて食べるのがおすすめです。
【1日3杯のコーヒーで長生きする】
コーヒーというと胃に悪い、眠れなくなる、といった悪いイメージがあります。近年、様々な研究によって、コーヒーの健康に対する効果があきらかになってきました。
コーヒーにはコーヒーポリフェノールが含まれており、動脈硬化、老化、がんなどをひきおこす活性酸素を減少させます。
コーヒーの健康に対する研究・論文は以下のようになります。
・胃がんや肝臓がんの予防効果があるのではないかという調査結果を報告(愛知県がんセンターによる11年間の追跡調査)
・毎日コーヒーを飲む人は、飲まない人より肝臓がんの罹患率が低いという結果が得られている(産業医科大学のグループにより11年間の追跡調査)
・疫学調査によれば、毎日コーヒーを飲む人は、ほとんど飲まない人より、善玉コレステロール(HDL)値が高い傾向にある
・試験管レベルでは、コーヒーに含まれるチコリ酸がエイズウイルスの増殖を抑制した
・文部科学省の研究によれば、昼寝直前のコーヒーで昼寝の効果が高まる可能性が示唆されている
・米国の追跡調査によれば、パーキンソン病の罹患率は、コーヒーを飲まない人と比較して、1日4杯〜5杯飲む人では約1/5だった
・オーストラリアの調査では、コーヒーを飲むトラック運転手は衝突事故を63%起こしにくいことがわかった
・コーヒーを飲むと直後に頭が冴えるだけでなく、長期的に記憶力が向上する可能性がある
・ハーバード大学の研究者によれば、1日に2杯から4杯のコーヒーを飲むひとは、自殺するリスクが50%低い
・1日に3杯コーヒーを飲む人は、死亡するリスクが10%減る(ニール・D・リードマン博士による研究)
>>コーヒーの飲み方
ミルクや砂糖など、何もいれずにブラックで飲むのが基本。わたしは朝、昼、夕方の1日3杯を心がけています。食事前に飲めば食欲も抑えられます。
砂糖を入れるとカロリーが高くなります。睡眠時無呼吸症候群の患者には肥満が多く、愛知医科大学の助教授の報告によれば、治療に訪れた患者のうち約半数が昼間の眠気を振り払うために缶コーヒーを5本以上飲んでいました。明らかにカフェインとエネルギーの過剰摂取であり、缶コーヒー症候群と考えられます。
缶コーヒーを飲むのであれば、ブラックを買いましょう。
【スーパーフルーツのキウイを食べよう】
果物はカロリーが高い。果糖で太る。野菜を食べればいい。
わたしは糖尿病の境界型と診断される前から、果物は「太る」「健康によくない」「不要なもの」と考えていました。
けれど管理栄養士さんに相談したところ、適量のフルーツは摂取すべきと教えられたのです。そこで、価格も手ごろで毎日気軽に続けられ効果もありそうなフルーツを探しました。出会ったのがキウイフルーツです。それから毎朝1個、食べています。
まずキウイのカロリーは高くありません。1個100グラムとして53キロカロリー。朝食に食べれば夜までにカロリーは消費します。なによりキウイにはビタミンCや食物繊維、カリウムなどの栄養素がつまっています。主要フルーツの中では、ナンバーワンの栄養密度と栄養素充足率を誇ります。
栄養素充足率とは、100グラムを食べたときビタミンや食物繊維など17種類の栄養素がバランスよく含まれていること。バナナ8.1、リンゴ2.0、いちご9.3で、グリーンキウイは10.6。
>>ポリフェノール
コーヒーやカカオ(チョコ)に含まれていて、強い抗酸化作用のあるポリフェノール。身近な果物に含まれるポリフェノールの量を調べたところ、リンゴ、ブドウ、マンゴー、グレープフルーツを抜いてキウイにもっとも多く含まれていました。
>>ビタミンC
美容や健康、ストレスの軽減、免疫力の強化に必要な栄養素ビタミンC。皮膚や骨を作るたんぱく質のひとつであるコラーゲンの合成にも必要です。
ビタミンCは体の中で作ることができないため、食べ物から摂る必要があります。また水溶性なので尿や汗で体外に排出されてしまい、体内に貯めることができません。熱にも弱いため果物などから毎日摂取する必要があります。
キウイ1個のビタミンC含有量は、みかん2個分です。成人1日あたりのビタミンC所要量の約70%に相当します。
>>食物繊維
腸は人間の免疫の6割に関係しているといわれ、第二の脳ともいわれるほど重要な器官です。その腸を整える働きをするのが食物繊維。この食物繊維は水に溶けるものと溶けないもの2種類があり、キウイにはこの両方の食物繊維が含まれています。
不溶性の食物繊維は腸の働きを活発にし、お腹の調子を整えます。水溶性は余分なコレステロールの排泄を促します。食事前に食べれば、糖質の吸収をゆるやかにして食後の血糖値の急上昇も防ぎます。
>>消化酵素アクチニジン
人間はどんなに素晴らしい栄養素を摂取しても、消化・吸収できなければ身になりません。ポリフェノールも同じです。キウイに含まれる消化酵素のアクチニジンは、タンパク質の消化を助ける働きがあります。
>>その他
全身の細胞を正常に働かせるためのミネラルのカリウム。血圧を正常に保ち、むくみを防ぐなどの効果もあり。造血に必要な葉酸。細胞の老化を防ぐビタミンE。クエン酸やリンゴ酸といった有機酸は疲労回復や貧血予防に働きます。
【りんごからポリフェノールを摂取しよう】
イギリスのことわざに「毎日リンゴ1個食べていれば医者はいらない」があります。それほどリンゴは体によい食べものだということです。
厚生労働省では1日350グラムの野菜をとることを推奨していますし、くだもののある食生活推進全国協議会では、1日200グラムの果物をとりましょうと勧めています。リンゴなら1日1個で十分な量がカバーできます。
糖尿病の予備軍と診断されたわたし。果物の果糖も気をつける必要があります。しかし、リンゴに含まれている果糖は、ブドウ糖や砂糖よりも血糖値を上げる要素が少ないので安心して食べられます。食後の血糖値をあげる数値「GI」であるグリセミック指数も、リンゴは低い食品のひとつですよ。
さらにリンゴは動脈硬化をもたらし、心筋梗塞や脳梗塞の原因となる悪玉コレステロールを減少させ、血液中のコレステロールを回収して肝臓に運び、善玉コレステロールを増やす作用があることも国内外の研究によってあきらかにされています。
お茶に含まれる抗酸化物質のエピカテキンは有名ですが、リンゴにも皮に果肉の4倍もエピカテキンが含まれています。だからリンゴは皮ごと食べましょう。農薬が心配なら水や中性洗剤で洗います。