売れない時代は売上げよりも粗利率を上げる
新たな子供が産まれず、老人が増える。日本は少子高齢化をまちがいなく進んでいます。65歳以上の高齢者が4人に1人の時代。人口も減るばかりで増えることはもうないでしょう。
子供のおもちゃ(玩具)の市場は、どんどん狭くなっていくと考えられます。
具体的には、おもちゃを買ってくれる子供がいない、子供相手の商品が売れなくなります。これからは経済的に余裕のある大人相手の商売も考えなくてはなりません。超大手玩具メーカーは、インターネット通販限定で大人専用の商品を売っています。
もう「売上げをもっとあげろ!」「売上重視!」なんて時代ではありません。では、どうやって個人店は利益を残せばいいのでしょう。
その答えが「粗利率を上げる」ことです。
【粗利率とは】
粗利率(あらりりつ)とは、売上高に対する粗利益の割合のこと。%(パーセント)で表します。また粗利益率は、売上高総利益率とも言います。
計算式は、粗利益率=粗利益÷売上高×100。
難しいことはとにかく、安く仕入れて定価で売る、もしくは安く仕入れて定価以上で売ること。
20%の利益で仕入れた商品を定価で売るより、50%で仕入れた商品を定価で売ったほうが儲けも多いとだけ覚えてください。
コスト(経費)を削ることも同時に並行すべきですが、コスト削減にも限界があります。なによりも削らなくてもいい経費を削ることは、店の魅力まで削ることになります。
まず安く仕入れることを考えましょう。
【粗利率を上げる仕入れの方法と基準】
確実に利益をとる販売方法は、以下の3つの方法があります。
・予約で売る
・安く仕入れて定価または定価以上で売る
・PB(プライベートブランド)商品を作り売る
すべてのホビーに当てはまるわけではありませんが、ホビー(トレカ、フィギュア、プラモ等)は、作られすぎて余ったり、売れなければ安くなります。たたき売られます。それを拾います。仕入れます。
>>予約で売る
粗利率はよくありませんが、確実に売れて利益が残ります。在庫も持たなくてすむのがメリットです。
>>安く仕入れて定価または定価以上で売る
大手ネット通販でセールされている美少女フィギュアを仕入れます。それを定価または定価以上で売ります。
仕入れの基準は利益が5000円以上、または50%OFF以上。通常の仕入れでは、この粗利率を達成することはそう簡単ではありません。だから株式投資でいう安くなったものを買う「逆張り」をするのです。
逆張り。とくに定価が2万円を超える大きなサイズの美少女フィギュア(限定でなく一般販売される受注生産品)は狙い目です。
大きなフィギュアは置く場所も必要で、価格も高め。それでいて予約をしたくせにキャンセルする人間がいたり、小売店が店頭販売分も売れると予想して発注をかけるため発売後、大量に売れ残ることがあります。
大手ネット通販は、倉庫の場所をとる大きな商品の在庫をいつまでも持つことを嫌います。赤字になっても倉庫のスペースを確保するために投げ売りして在庫処分します。それを拾うのです。
一度投げ売りされたホビーは、なかなか再販されません。再販しても売れません。メーカーも同じ失敗をしたくないため、売り切れても再販をしないことがほとんどです。
ホビーの特性でも語りましたが、時間が経過して売り切れてしまい市場から姿を消したホビーは価格を戻すことがあります。いつでも買える時に買わないくせに、買えなくなると欲しくなるのは人のサガなのでしょうか。
売り方ですが、店頭では定価販売。ネット上で定価以上になっていればネットで売ります。売れるほうで売る。利益がとれるほうで売りましょう。
店頭で売る場合は、並べるのはひとつにします。同じ商品をいくつも並べてはいけません。理由は簡単。お客様はよほど欲しいものでなければ「いつでも買える」ものを欲しくならないからです。
>>PBを作って売る
PBとはプライベートブランド。あなたの店だけで販売されるオリジナル商品です。同人作品といってもいいでしょう。
・同人誌
・同人ボードゲーム
・同人カードゲーム
・同人アクセサリー
・同人CD
欲しいひとがあなたのお店でなければ買えない商品を自ら作ります。大切なのは高品質であること、欲しいひとがいること、利益を確実にとれること。
【売れる特売商品の見極め方】
どんなに商品を安く仕入れても売れなければ意味がありません。在庫(罪庫)になる商品をつかまないようにしましょう。
安く仕入れても売れない商品の特徴は4つあります。
・原作の連載やアニメ放送が終了するなど、商品の旬が過ぎている
・新作アニメの放送前に販売されている
・完成度が低い、デキが悪い、似ていない
・店に来るひと、常連さんにその商品を欲しい人がいない
ネットで安く売られるということは何か理由があります。
「デキが悪い」「完成度が低い」「似ていない」商品を店頭に並べておくと「ここはその程度の店なんだ」と店のレベルを落とすことになるので、仕入れにはとくに注意が必要です。
安く仕入れても定価、または定価以上で売れる商品の特徴は5つあります。
・エロい
・新作アニメが放送中
・完成度が高い、デキが良い、似ている、決定版
・常連さんにその商品が欲しいひとがいる
・特売されていた商品が売り切れてネット通販でも価格を戻している、定価以上になっている
エロは万国共通。新作アニメが放送されれば新たなファンも増えます。完成度の高い商品なら売れる可能性もあります。そして常連さんが欲しがっていれば、まず間違いなく売れます。そしてホビーの特性である「売り切れて再販されなければ価値を戻す」のが最大のメリットでしょう。
【他人の評価を仕入れに活用すべし】
特価商品を仕入れるさい、一番間違いがないのは自分で実物を見て判断することです。とくに美少女フィギュアはサンプルと実物が異なることがよくあるため、サンプル画像を信用してはいけません。
あなたもプロであれば、可能なかぎり他店に行ってでも実物をみて「仕入れる」か「仕入れない」を判断してください。かといって、すべての商品の実物をみるのも大変です。なにより、すべてをチェックしていたら買うタイミングを逃してしまいます。
そこで評価基準にするのが他人の評価。フィギュアであれば買った人のブログのレビューを見る、Amazonの評価を見ます。あなたが「この人の推す商品なら心配ない」という人をみつけてもいいでしょう。
検索エンジンにて「商品名+レビュー」で上位表示されるブログやホームページの中には、自分で商品を買わずにメーカーのサンプル画像をただ転載しているところもあるので気をつけてください。
ホビー。とくに美少女フィギュアはサンプル画像でなく、発売された実物の画像で必ず判断します。
Amazonのレビュアーによる評価も参考になります。多くのレビュアーが星4以上をつけている商品であれば問題ないと考えます。中には「ひねくれて」「主観的」な低い評価をつける人もいますが、不良品や品質に問題がある商品を除き「具体的」で「客観的」なレビューや、ランクの高いレビュアーの評価は信用していいでしょう。
完成度は高いけれど生産されすぎて余り、投げ売りされている商品なら売り切れて市場からなくなれば価値と価格は戻る可能性があります。
なんにせよ、仕入れの最終判断はあなたがすること、結果の責任もあなたがとることを忘れないでください。
【売れるホビーの矛盾】
わたしの扱っている美少女フィギュア。売れるモデルの基本は「完成度が高い」「人気キャラクター」「人気作品」「そのキャラクターの決定版」等があります。
けれど、売れるフィギュアが利益のとれるフィギュアではありません。
たとえば、売れるには売れるけれど利益の薄いモデルがあります。1万円の商品を売って、利益が1000円(1割)もないメーカーもあるからです。売っても売っても儲けが残りません。そうなると仕入れるのも馬鹿らしくなります。発売後の安売りを拾ったほうが利口だと思いませんか。
ホビーの販売方法に多い受注生産も独特な現象がおこります。
期間内に予約を受けた数だけ作る生産方法では、受注期間を過ぎて予約できなくなってから欲しい人が一定数発生します。大手ネット通販にて予約段階から定価以上で売られているのは、受注期間を過ぎて注文できなくなったモデルが多く。
そのくせ発売されると製品の完成度が低い、不具合があるなどの理由で定価の半額で投げ売りされたりすることも。あの予約段階での価格高騰が嘘のようです。
このような現状をみていると、売れる商品や利益のとれるホビーっていったい何なんだろう・・・と思ってしまいます。