買わせる心理学
【購買心理学】
心理学とは、心と行動に関する学問。じつは、販売にも心理学がたくさん応用されています。
それが購買心理学です。
たとえば、あなたは駅で駅弁を買おうとしました。
そのお店には
・3000円の松
・2000円の竹
・1000円の梅
の3種類があります。あなたはどの弁当を選びますか。
多くのひとが竹を無難と考えます。これをゴルディロックス効果と呼びます。
【松竹梅理論】
松竹梅理論(しょうちくばい・りろん)。
お寿司屋さんで寿司の出前を注文するとき、人は考えます。
・松はちょっと高い。贅沢ではないか
・けれど、一番安い梅を選ぶと「ケチ」「安いものを買っている」と思われるのではないか
結果、無難な値段の「竹」を選ぶのです。あなたが一番売りたい、利益がとれる商品を「竹」に設定するといいでしょう。
【2000円の駅弁を安い!と思わせる方法】
価格が異なる複数の商品が並ぶと、その中間価格が判断の基準となります。これがアンカリング効果です。
では、2000円の駅弁を安い!と思わせるにはどうしたらいいでしょう。
簡単です。
・4000円の松
・3000円の竹
・2000円の梅
のように、もっと高い弁当を2つ設定してしまえばいいのです。
すると3000円の竹の弁当が基準価格になり、2000円の梅は安く感じるのです。
(問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい)
ホビーショップなら5000円の商品を一番売りたければ、5000円の商品だけでなく、8000円、10000円の商品も置くようにします。お客様は8000円が基準価格になり、5000円の商品が安く感じます。
もしゴルディロックス効果で8000円が無難と感じて売れたとしても、それだけショップの利益は高くなります。
このように販売における心理学を知っているか、知っていないか。それを実践するか、実践しないかで店の売上げも大きく変わるのです。
【買わせる心理学 相手に気づかれず「その気」にさせる技術】
買わせる心理学 相手に気づかれず「その気」にさせる技術は、立正大学名誉教授、文学博士、日本ビジネス心理学会会長、齊藤勇さんが監修した本です。
フリーマーケットの売上で10年以上生活しているフリマの神様であり、販売士の「てずーさん」にこの本をお貸ししたところ、「これはいいね!役立つよ!」と喜んでいただけました。
もちろん、わたしも自分の店に購買心理学を活用しています。
【入りやすい店にする方法】
ここではお客様が入りやすい店にする方法をお教えします。
誰だって初めての店に入るときは緊張します。売りつけられるのではないか、店員につきまとわれるのではないか。ゆっくり商品をみたい。お客様のそんな不安を取り除きましょう。
>>ほかにお客様がいると入りやすい
個人店はたいてい一人店長です。誰かほかのお客様の接客をしている場合、手が離せません。不思議なもので常連さんと話していると、お客様がはいってきます。
自分が客の立場になればわかりますが、声をかけられたり売りつけられる可能性が低いので安心なのでしょう。
>>外から見えるところに突っ立って待機しない
お客様が店内を外から覗いたとき、店員が突っ立ってこちらを見ていたら・・・。わたしだったら「待ちかまえてるのかよ」と入る気がなくなります。
掃除をするなり、商品の前だしをするなり、何か作業をするのが一番です。
>>店の外から見えるところに余計なものを置かない
店のガラスや看板が汚いのは論外ですが、商品を出したあとのダンボールなどが店外から見えるのはいただけません。豪華でなくてもいいけれど、小ぎれいを意識してください。
>>一声かけたら放置プレイで
どんな商品があるかわからないうちに声かけやおススメをするとお客様に逃げられます。
いらっしゃいませの挨拶をしたら「何かありましたら声をかけてください」とだけ伝え、作業に戻りましょう。本当に欲しいものがあれば、お客様から声をかけてくれます。
買わなくても気軽に帰ることができる。これが大事。
【売れる陳列】
ここでは売れる陳列方法をお教えします。
>>右側ディスプレイの法則
人は自分の利き腕側に良い印象をもちます。商品が二つ並んでいる場合、右側が約2倍売れます。左利きのお客様の場合、左側の商品が売れます。
>>ゴールデンゾーン
ゴールデンゾーンとは、お客様の目にとまりやすく、手に取りやすい領域のこと。
床上60〜150センチを指し、人の胸の高さから肩ぐらいまでを指します。
>>左回りの法則
人は左回りのほうが気持ちを緩めます。財布のヒモも緩むでしょう。
お客様が店の入り口から逆時計まわりに回るようにします。
>>商品の配置をよく変えるのはストレス
いつものところにいつもの商品。ころころ商品配置を変えるとお客様はストレスを感じます。
>>BGMのテンポで売れ行きが変わる
音楽にも売れる要素があります。あるワインショップでアップテンポの流行曲からクラッシック音楽に変えたところ、売上が30%ちかく増えました。
アップテンポの音楽が流れると歩くスピードが速くなったり、食事のスピードがあがります。逆にスローテンポの音楽が流れると店内を歩くスピードも遅くなります。レストランであれば滞在時間がのびて注文も増え、売上アップ。
アメリカのショッピングセンターで、BGMを遅いテンポに変えたところ客の滞在時間が伸び、商品の売上げも増えています。
【ナンパ師も応用しているコールドリーディング】
コールドリーディングとは話術の一つ。相手を観察し、そこからいろいろな情報を読み取る技術。
店内でお客様に声をかける時、声をかけてはいけない方向があります。逆に声をかけても警戒されない方向があります。
その方向は、バッグを持っている側でわかります。背中に背負うリュックではなく、手に持ったり肩にたすきがけするバッグです。
手にバッグをもっている方向から絶対に声をかけてはいけません。バッグを持っている手が右手なら右側から声をかけると売れません。
たすきがけのバッグの場合、肩ヒモで判断せず、バッグの本体がある方向から声をかけないようにしましょう。
バッグは本人にとって勇者の盾。盾をもっている方向から突っ込んでも勇者にダメージは与えられないのです。
コールドリーディングは、じっさい街のナンパ師やキャッチセールスも応用しています。
【売るテクニック】
>>高いものはよいもの
人は「高い物のほうが良い物」と考えます。もちろん高い物すべてが良いものではありません。それでも「高いのだから価値があるのだろう」と考えてしまいます。
あるブティックで、ずっとセール品で売れなかったセーター。定価の倍値にしたら即売れたなんて話はそこかしこにあります。
>>同じ20円の値上げでも、許される値上げと許されない値上げ
商品を20円値上げしなければならない。この時、お客様が見るのは値上げ率ではありません。お客様は先頭の数字を見ています。
・188円の商品が、20円値上げして208円
・208円の商品が、20円値上げして228円
どちらも20円の値上げですが、前者はお客様に「高い!」と思われます。百の位が変わったからです。
>>店の内装を青色にすると売上アップ
食欲をおこさせる赤などの暖色は、店の内装に使うと緊張した気分になるため買い物に慎重になり売れません。
逆に青などの寒色は精神をリラックスさせる効果があり、店への好感度アップ、購入金額も高いという実験結果があります。
ちなみに色による影響を受けやすいのは女性よりも男性です。
>>本の売上を40%もアップさせた香りとは
焼き鳥やウナギを焼くにおいなど食べ物の匂いは脳を刺激します。ベルギーの書店では、ある食べ物の香りを店内に流したところ、40%も売上げがアップしました。
>>○○禁止!が客を遠ざける
店の入り口に「ペット禁止」「飲食禁止」「撮影禁止」「スマホ操作禁止」などの「禁止張り紙」があると、購買欲も冷めてしまいます。
【まとめ】
いくつか買わせるテクニックを紹介しましたが、この本には売上倍増の法則(テクニック)が143個も収録されています。
たった1000円の投資で売上げが上がるなら安いものです。