ホビーショップの常識は一般人の非常識な件について
『○○のポスターが貼ってあったから店内に入ったのに置いてなかったよ!』
じつは、この台詞をわたしは2度聞いています。
ホビーショップには、メーカーから販促・宣伝用のポスターが届きます。このポスター、予約が開始した商品があると告知と宣伝のために送られてきます。
つまり、予約開始と予約受付中ということを知らせるためのもので「今、売っているよ!」と告知するものではありません。
じっさい、日本語ではありませんがポスターにも「2018 SUMMER ON SALE」等と明記されています。
でも、お客様にとっては「知らない」「わからない」「ホビーショップの非常識」です。店に責任がなくても、苦情やクレームの元になりかねません。
ここでは「ホビーショップの常識は一般人にとっての非常識」をお教えします。
【ホビーの受注生産について】
『どうして発売前なのに予約できないんだよ!』
あるホビーショップで店員に向かってお客様が怒っています。どうやら発売一か月前のフィギュアが予約できなくてカンカンです。
ホビーは本のように、いつでも買えるわけではありません。むしろ、市場から在庫がなくなれば入手困難になります。多くのメーカーが中国で生産していること、印刷のように複製が簡単ではないこと、原価が高いこと、がいつでも買えない理由です。
フィギュアは、立体化計画のスタートから発売までに約1年間かかります。毎日のように新製品が発売されるため、メーカーも在庫を抱えるのを防ぐため「受注生産」という生産方式を取り入れています(すべてのメーカーが取り入れているわけではありません)。
受注生産とは、予約開始から一か月ほどのあいだに問屋や小売店が予約を受けた数量をメーカーが必ず作ってくれる生産方式です。
予約すれば確実に買うことができる素晴らしいシステムですが、一か月を過ぎたら予約が難しくなります。トレカなどはメーカーにもよりますが、一週間しか受注期間がないところもあるため、小売店は苦労しているとのこと。
よく受注期間を過ぎてからも予約を受けるネット通販店があります。これらのお店は「受注で集まった数」と「自分の店で売れると予想した数」を受注期間内に注文しているのです。売れるか売れないか、一か八かで仕入れています。
とくに発売一か月前などはメーカーも完売、問屋も終売になって個人の小売店は予約できなくなります。
こうなるとインターネットの通販や予約を受けてくれる大手の店舗で予約するしか手はありません。個人店に予約できない!と怒るのはお門違いです。
【仕入れについて】
ホビーは本とちがって返品ができません。問屋から小売店が買い取っています。だから売れればいいけれど、売れなければ在庫を抱えます。キャンセルされたら、店の在庫(負担)になります。
だから、どうしても仕入れには慎重になります。
それなのに、平気で「(買うかもしれないけれど)仕入れてよ」「検討中だけど、実物は見たい。実物をみて、気に行ったら買うよ」みたいな態度で店に仕入れを要求するお客様がいます。
もちろん、そんな態度のお客様が買うことは(ほとんど)ありません。
本当に買う気があるお客様にはお店も本気で答えます。本当に欲しいのであれば「予約します。代金は先払いでもかまいません」と言ってください。
【サンプルはサンプル。実物と異なる場合がある】
画像は試作品を撮影したものです。実際の商品とは異なる場合があります。
ホビーの商品ページには、このような一文が明記されています。つまり、予約時のサンプルページの商品画像と発売された商品が違うことがあります。
美少女フィギュアでいえば、仕様がちがう、顔が別人、ゴリラ顔、男前・・・。ずばりサンプルと実物が違うのです。
けれど、それでも一文が明記されているため「顔が違うから返品する」ことはできません。お店が仕入れることに慎重になる気持ちが少しでもわかっていただけますでしょうか。