リピート率90%超!小さなお店ひとり勝ちの秘密
ただ、経営者としての長年の経験から言わせてもらえば、戦略だの戦術だのホスピタリティーだのと気負わなくとも、売り手がありのままの自分を正直に伝え、それに対して「いいね!」と共感してくれる買い手だけを選んで等価交換すれば、ビジネスは俄然楽しく、また自然と儲かるようにできているのである。
(リピート率90%超!小さなお店ひとり勝ちの秘密 より引用)
中谷嘉孝さんのリピート率90%超!小さなお店ひとり勝ちの秘密を読みました。中谷さんはヘアサロン二軒を経営し、つけ麺屋もプロデュースしている本物の経営者。
中谷さんが経営するサロンは完全会員制。外からは店内がまったく窺えないサロンです。さらに入口のドアにはナンバーキー。暗証番号を知らなければ、たとえアメリカ大統領でさえ店内に入ることはできない。その暗証番号は、予約したお客様だけに知らされる。
ヘアサロン(美容室)は、お客様が店内に入れば売上がゼロ円ということはありません。カットにせよ、毛染めにせよ、パーマにせよ、売上は発生します。ホビーショップや雑貨屋、洋服屋のように店内にお客様が入ったからといって売り上げが確定しない業種ではありません。
なのに中谷さんは自分の店を会員制で予約制にする。それはなぜか。
中谷さんが付き合いたいのは、中谷さんの思いや価値観に共鳴してくれて、等身大で一生付き合える「選ばれしお客様」だからです。
【集める客は徹底的に絞ろう】
美少女フィギュアの専門店にはいってきて「ガンダムのモビルスーツ(ロボット)ありませんか」と質問する青年。
美少女フィギュア専門店で「俺、美少女フィギュア買う主義じゃないんだよね」と口にした少年。
店に入ってくるやいなや「おたく、キモ!」と吐き捨て逃げるように出て行った少年。
法事で隣の飲食店に来たついでに興味本位で入ってきて、孫が好き勝手に店内を走り回り、「気持ち悪ーい!」と大声で言ったうえ、祖母が「そうだよねー」と同意した大家族。
これ、じっさいにわたしの店であったこと。
気持ち悪いと思うのなら、店に入らなければいいし、店主の聞こえるところで言うこともないんです。今でも、笑顔を崩さず何も言えなかった自分に嫌気がさします。今なら「じゃあ、出てけ」と数秒で追い出しますけれど。
でもね、こんな客でもない人間を店に入れてしまった、呼んでしまったのは店主であるわたしにも責任があります。
自分が付き合いたい、客にしたい、店に呼びたい人間を徹底的に絞らないから、こんなミスマッチで不幸な事件が起きるんです。
定価が一万円以上する美少女フィギュアを売る店に、小中学生を呼んでも売れるわけがありません。複数人で来て騒ぐ、商品を大切に扱わないマナーの悪い人間が買うはずがないんです。
来る者こばまず。そんな誰でもいいから来てほしい、なんて姿勢でいるから忙しいのに売れない、時間ばかり奪われて売上ゼロ円なんて結果になるんです。
あなたは徹底的にお客様を絞らなければいけません。
あなたは正しくえこひいきをしなければいけません。
【ファン客よりも、サポーター客を集めよう】
ファン客とは、あなたの店のことが好きな人のこと。けれど、ファン客は長い時間をかけて一から育てなければいけません。個人店には、なかなかそんな時間も余裕もありません。もちろんファン客を育てる努力もお店には必要ですよ。
それならば、あなたの良いところも悪いところも知っていて、最初から応援してくれる、そして買ってくれる、共感してくれるサポーター客を集めたほうがいいと思いませんか。
そのためにも、あなたは自分の弱み、強み、考えていることを積極的に情報発信していく必要があります。いくらサポーター客でも、努力を忘れた店を応援はしてくれないからです。
【店の価値を直接伝えて、とことん尖れ】
あなたは自分の店の価値を直接、お客様に伝えていますか。わたしは「完成度の高いメーカー製の美少女フィギュアのスケールモデルが秋葉原にも負けないくらいに揃っている」と伝えています。
それでも、たまにデフォルメタイプのフィギュアやロボットフィギュアを探しにくるお客様がいます。まだまだ自分の店の価値を伝えきれていません。
自分の店の価値を伝えるためには、価値をハッキリさせること。個性を決めること。とことん尖って、お客様のイメージとのミスマッチをなくす努力をしましょう。とことん尖れば尖るほど、質の悪い人間は寄ってこなくなります。店のセキュリティーが上がるんです。
【客は追うほどに逃げる。あせるほど空振りする】
客は売り込めば売り込むほど逃げる。なにより、売れてもSNSで悪い評判を流されます。だから客を追ってはいけません。追えば追うほど蝶は逃げます。
あなたは、客から「あなたから買いたいんです!売ってください!」と言ってもらえるよう努力しなければいけません。
でも、わたしだって人間です。売り上げがゼロで、あと30分で閉店時間となれば焦ります。そんな時に人が来れば、買ってもらえるかも・・・と期待するし、買ってほしいと心から思います。
けどね、そんな時こそ売れないんです。
しかも、たいてい上客どころか「ただ話がしたいだけ」の困ったチャンだったりします。買ってもらいたい・・・そんなスケベ心を出して愛想笑いをして、アニメの話に閉店時間を30分すぎても付き合う。
結局、売れません。「楽しかったです。また来ます」の言葉だけ残して、その人は帰ります。わたしに残されたのは、売れなかったという事実と虚脱感だけ。
ようは、わたしは「都合のいい人」で終わったのです。恋愛でもいますよね、物をねだられたり、食事や酒をおごらされたり、アッシー君で終わるひと。わたしも彼らにとって、そんな人間でしかなかったのです。
ここでの正解は、焦らないこと、売り込まないこと。閉店10分前に来店したのであれば、「あと10分で閉店になります」と伝えること。本気で買う気があるお客様なら、時間内に買う努力をしてくれます。世間話に付き合うのは、買うという行動に移してからでも十分に間に合います。
まとめます。
都合のいい人で終われば、店も終わる。
【まとめ】
自分の店を開業してもうすぐ10年になります。それでもこの本を読んで「わたしもまだまだお客様を絞り切れていない」「尖っていない」と感じました。反省です。
別に高飛車になれとか、殿様商売しろってことではありません。あなたの価値を認め、買ってくれるお客さまだけを大切にしよう。
商売では当たり前のことを言っているだけ。
アマゾンレビューを読んだところ「内容が薄い」「具体例が少ない」「内容が薄いので何も解決しない」という意見がありました。本のどこに価値を見つけるかは人それぞれです。けれど、わたしはページ数や厚さや具体例の多さ、内容の濃さ以外に、この本から価値を感じました。
商売ってテクニックより、まずマインド(精神・考え方)ですよ。いくら才能があっても「どうせダメだ」と何もしなければ結果はでません。