やりたくないことを決めよう
【USPのために、やりたくないことを決めよう】
繁盛している店にはUSP(ユニーク・セールス・ポジショニング)があります。USPとは、その店だけの特徴、個性、売り、魅力です。
ちなみに飲食店で「美味しい」。雑貨屋で「品ぞろえが豊富」というのは、USPではありません。
ラーメン屋であれば、美味しいラーメンを出す。雑貨屋で品ぞろえが豊富なのは当たり前ですよね。
あなただけのUSPを見つけるためには
・やりたいこと
・やりたくないこと
・つきあいたい客
・つきあいたくない客
を具体的にイメージします。
【目標と大義をみつけよう】
ホビーショップにかぎらず、商売を始める前に目標と大義を決めておきます。
目標と大義があれば、そう簡単に心は折れません。くじけません。
たとえば、わたしの目標は「好きなことをして生きる」。大義は「好きなことをして生きる人を増やし、楽しい日本にする」です。
【好きなものを儲かるから!で決めてはいけない】
ホビーショップを開業しようとするあなた。とうぜんプラモデルやフィギュア、ラジコン、ミニカー、鉄道模型が好きだと思います。
専門家やプロは、好きを得意にする必要があります。さらに得意を強みに。強みをオンリーワンの個性(USP)にまで育てなければいけません。
このとき気をつけたいのは好きなもの、扱う商品を「儲かるから!」で決めてはいけません。儲かれば続けるけれど、儲からなければやめてしまうからです。
好きとは、誰に言われなくてもやってしまったり、寝る時間を削ってまで集中したり、金にならなくてもやめられないもの。プラモデルを作っているあいだ、完成した姿を想像してニヤニヤしたり、ワクワクしてしまう。わたしなら美少女フィギュアの展示会場で、何時間もカメラ片手にぐるぐるしてしまうこと。
【儲かる商売の三原則を満たしていないホビーショップ経営】
マネーの拳の1巻に、儲かる商売の三原則が紹介されています。
儲かる商売の三原則とは
・設備投資があまりかからない
・売り上げが季節に左右されない
・商品のロスが少ない
です。
ホビーショップは、設備投資がかかります。粗利率も飲食店の6割とちがい、2割程度。売り上げが季節に左右されないこと、腐らないので商品のロスが少ないことは救いです。
けれど、ホビーにも旬はあります。
旬や流行が終わる、アニメや原作が終了すれば作品の人気は下がり、とうぜん商品も動かなくなります。赤字で処分することだってあるでしょう。
そんな時でも、あなたの店を救うのがやはりUSP(個性)。
あなたの店にUSPがあれば、価格でお店を選ばないお客様が集まります。
【ワオ!を作ろう】
まんがで身につくランチェスター戦略では、新規オープンする飲食店に「WAO!(ワオ)」とお客様を驚かせる戦略が紹介されています。
たとえば、ラーメン二郎。あの超大盛りラーメンは、初めて見る人はみんな驚きます。人は驚いたり、嬉しいことがあると他人に教えたくなります。
ツイッターでつぶやいたり、日記ブログで紹介したり。SMSの口コミでイッキに広がるのです。もちろんWAO!もUSPの一つといっていいでしょう。
【やりたいこと、やりたくないことを決める】
まず、あなたがやりたいことをハッキリさせます。紙にやりたいことを書いてください。
わたしなら
・新品の美少女フィギュア専門店
・美少女フィギュアのファンが集る店を作る
・買ってくれる人と付き合う
でした。
逆に、やりたくないこと。やらないことも決めましょう。
わたしの場合
・安売りしない
・値引きしない
・美少女フィギュア以外の商品を売る(常連さんの予約は除く)
・買わない人間を相手にしない
・商品を大切にしない等、マナーの悪い人間を店に入れない
でした。
【つきあいたい客、つきあいたくない客を決める】
やりたいこと、やりたくないことは決まりましたか。これらは大切なことなので開業前に決めておきましょう。
もちろん開業したあとに「これはやりたくない」ということもでてきます。新たに追加します。
次は「つきあいたい客」と「つきあいたくない客」です。これを決めておかないと接客やUSPがブレます。
USPや接客がブレているお店には、お客様が寄りつきません。
たとえば、大勢で来て店内で騒ぐマナーの悪い人たちをほっておくと、静かに買い物をしたい常連さんが離れます。
そもそも・・・マナーの悪い人間が買うことは、ほとんどありません。
買わないので客でもありません。単なる人。買わない人と、年間20万円あなたの店で使ってくれる常連客。あなたはどちらを大切にすべきだと思いますか。
つきあいたい客、つきあいたくない客は具体的に決めます。
わたしのつきあいたい客は
・働いている成人男性(20〜40代)で、自分の自由になるお金がある
・一か月に一度は買ってくれる
・買わないのに長居しない
です。
つきあいたくない客は
・うるさい
・複数人できて、はしゃぐ
・買わない
・予約してキャンセルする
・「金がない」「置く場所がない」等、店で買えない言い訳ばかりする
・商品を大切に扱わない
・売り場を荒らす
・小さい子どもを連れてきて、店内で自由にさせる
・買わない(大事なことなので二度いいました)
です。
【お客様は平等に扱うべき。差別なんてもってのほか】
お客様は平等に扱うべき。差別や区別なんてもってのほかだ。
あなたの意見もわかります。わたしは別に新規顧客をないがしろにしろ、無視をしろと言っているわけではありません。
挨拶や商品についての質問など、新規客も常連客も同じ最高のサービスを提供すべきです。
けれど、あなたを商品を買うことで応援してくれる人と、ほとんど・まったく買わない人の接客が同じなのはおかしいと感じませんか。
少なくとも、いつも買ってくれている常連客は「俺はいつも買っているのに新規客と対応が同じかよ」と思います。
常連客には、最高を超えたサービスをしましょう。
お客様は「えこひいき」しなさい! 3倍売れる「顧客差別」の方法でも、「既存客を放っておいて新規客ばかりに目を向けていれば、必ず既存客は離反する」とあります。
【他のお客様に迷惑をかける客は切るべし】
想像してみてください。
あなたは映画館のスタッフです。上映が開始すると、一人の男性が携帯電話で大声で会話をはじめました。他のお客様は迷惑そうな顔をしていますが、怖くて注意できません。
さて、スタッフであるあなたはどんな対応をしますか。
その男性もお金を支払ったお客様なのだから、注意しないでほっておく。
他の大勢のお客様の迷惑になるので、注意する。やめなければ追い出す。
商売人なら後者の選択しかありません。
お店をやっていれば、似たような人が必ずでてきます。そんなとき、つきあいたくない客を決めておかないと対応が後手にまわり、常連客や他のお客様が離れてしまいます。
自分と合わない人や嫌いな人はお客様にしない。
そういう人をお客様にしてしまうと、疲れるだけ。なによりイヤな人の後ろには、もっとイヤな人がいたりします。
「イヤな客には売るな!」「営業マンは断ることを覚えなさい」の石原明さんの持論です。