売る覚悟を決めて安売りをしない
【売ることが一番重要なこと】
お店とは、何をするところだったでしょう。商売とは、何をすることでしょう。
お店とは、あなたの商品やサービスを売る場所・買う場所であり、商売とは利益を得るために物を売る行為です。
好きなことを仕事(商売)にすると、忘れがちなことがあります。
それは「商品が売れなければ潰れる」ということ。
つまり、リアル店舗を開業して営業を続けたければ売るしかありません。売るという行為を忘れたら、お店は生き残れないのです。
【仕入れよりも売る力をつけることが最優先事項】
ハッキリいって、玩具の仕入れは難しくありません。お金があれば誰にでも仕入れることが可能です。
もちろん売れる商品の目利き能力も商売には必要です。それでも仕入れた商品を売る力がなければ在庫の山になるだけ。お金が回らなければ、新たな商品を仕入れることもできないのです。
まず売る経験を積む。売れるあなたになる。結果を出す。
店舗を構えるのは、いちばん低リスクなインターネットで結果を出してからでも遅くありません。
【お客様のために利益をいただく】
お店を構えれば常連客がついてきます。その常連客は、あなたのお店が好きで、あなたの店がなければ困る人たちです。
せっかくお気に入りの店ができたのに、すぐに潰れてしまった。お客様も困るし、なによりも悲しみます。
だからこそ、あなたはお店を存続させなければいけません。そのために商品を本気で売る。そして利益をいただきましょう。
あ、売るといっても安売りしろってことじゃありませんよ。玩具であれば定価で売って、きっちり利益をいただけってことです。
あなたは大切なお客様のために定価で売り、ちゃんと利益をいただかなければなりません。
【安くしなければ売れないという幻想をブチ壊す】
ホビーショップの経営者の中には「定価より安くしなければ売れない」「買ってもらえない」と考える人がたまに。ごくたまーにいます。
そんなことはありません。
事実、わたしの店は誰にでも定価販売です。精神的なえこひいきやサービスはしても、金銭的にえこひいきはしていません。
戦後まもなくと違い、現代は物が余っています。
人は欲しい物は欲しいけれど、いらない物は無料でもいらないんです。
大事なことだから、もう一度書きます。
人は欲しい物は買ってでも手に入れるけれど、いらない物はタダでもいらない。
だいたい、あなたの店の常連さんはあなたの店やあなたが好きなのであって、安いから常連になっているわけではありません。
いいかげん、ライバル店より安くなければ売れないなんて幻想は捨ててください。
【値段だけの客は値段で浮気する】
たとえば、あなたの店で値引きをやめて定価販売に戻したとします。なかには離れて行く人もいるでしょう。
でもね。それで離れて行く人は、いつか離れて行く人だったんです。
安値で釣られていた人は、安値で他店に浮気します。
なによりも個人店は「安値」を売りにしてはいけません。安売り競争になったら勝つのは大企業一社のみ。
利益を減らして赤字になっても楽しくありませんよね。
【安売りすると価値が下がる】
ホビーは趣味の商品です。つまり、なくたって生活できます。同人誌や絵画も同じです。たまに趣味のグッズを「高い!」と文句をつける人がいます。
自分の店を10年以上やってきた経験から店内で「高い」と口にした人間が買うことはありません。彼らの購入する基準は、商品の完成度や質ではなく価格だけだから。喜んで他店に行ってもらいましょう。買わないのであればお客様ではありません。相手にする、気にする必要もないのです。
なにより安売りするとあなたや店の価値はどんどん下がります。
江戸時代の花魁(おいらん)は、吉原遊廓の遊女で位の高い者のこと。現代の高級娼婦や高級愛人にあたります。彼女たちは自分を決して安売りしません。自分の価値を認め、それにみあった金を払ってくれるお殿様とだけ遊びます。
もしも花魁が誰とでも遊ぶようになったらどうなるでしょう。ありがたみや満足感は急激に下がります。とうぜん渡す金額もどんどん下がります。最後は無料。ゴミ同然になります。
安売りすることは自分の価値も落とすこと。忘れないでください。
【関係性で売る時代】
お客様は同じ商品であれば、より「関係の深い」お店で買います。そこに値段は関係ありません。
物やサービスがあり余っている時代だからこそ、お気に入りの店、好きな店員のいるところで買うのです。
「うちはライバル店より高いから売れない」なんて口にする店があります。けれど、そんな店はライバル店より安くしても売れるようにはなりません。
一時的に値段に釣られた人間だけが増え、常連にもならず、価格が元に戻ればまた去っていくのです。
【買い物の7割は衝動買い】
買わせる心理学 相手に気づかれず「その気」にさせる技術によれば、買い物の70%は衝動買いだと言われています。
やっぱり! 「モノ」を売るな! 「体験」を売れ!でも、ある消費者調査によれば、買い物をするとき、消費者の86.5%は「店頭で商品を決めている」のです。
ただし、数百円で買える食料品や100円ショップの雑貨ならいざしらず、数千円、数万円するホビーは簡単に衝動買いされません。
そこで本当にあなたの扱っている商品を探している、興味のある人を集める努力がリアル店舗には大切です。
【断ることで本気のお客様だけが集まる】
店舗を構えているといろいろなお客様がやってきます。
あきらかに買う気がない、時間をつぶしたいだけ、ユニクロを見ている間だけ中学生の娘二人を店に放置していくお父さん、未就学児を店内で好き勝手に暴れ回させる無責任な父親。ぞろぞろとはいってきて、子どもに「キモーイ」と好き勝手に発言させる一家。
彼らのように、お店がお店であることを忘れている。お店に対する気配りやマナーのない人間を店内に入れると、店の雰囲気が悪くなります。何より売れません。
彼らに好かれても、あなたの店は都合のいい場所になるだけ。決して売れるようにはなりません。むしろ常連客は逃げていきます。
そこで、あえて本気のお客様だけを選びます。
本気のお客様とは、あなたの店で買ってくれる人のみ。
マナーの悪い人間、嫌いな人間、あなたと合わない人間を切ることで、その切った数以上に優良顧客が増えます。
【安売りをしないメリット】
安売りをやめると覚悟して実行すると、あなたの店に変化がおきます。
安売りしないメリットは5つあります。
・お客様の質が変わる
・利益が残る
・クレームやトラブルが減る
・店主や店員のストレスが少なくなる
・売る技術が身につく
安値を求める人間ほどクレームやトラブルを起こします。安売りをやめれば、あなたの店から去っていきますので、クレームやトラブルは激減します。そして質の良いお客様が集まります。一度去ってしまったお客様も戻ってくることがあります。
安売りをしないので利益が残ります。ホビーの利益率は決して高くないため、定価で売らなければ利益はほとんど残りません。個人店は安売りを絶対にしてはいけません。商品だけでなく、あなた本人を安売りするのと同じだから。
質のよいお客様が集まり、商品が売れ、利益が残る。とうぜん店主や店員は働く喜びを感じます。ストレスもほとんどありません。
安売りほど簡単なことはありません。頭も使いません。安売りをやめると覚悟すれば、いかに定価で売ろうかと頭を使います。商品のメリットを伝える方法を考えたり、POPの書き方だって覚えます。
いちど身に付いた技術は、他の商売で使える一生の財産です。
【たまたま客でなく、わざわざ客を呼び込もう】
リアル店舗のメリットは、あなたのショップを偶然みつけて立ち寄ってくれる「たまたま客」が来ること。
けれど、集客を偶然に任せてはいけません。
インターネットやチラシ、友達の口コミであなたのショップを知り、時間と手間をかけて来てくれる「わざわざ客」を呼び込みましょう。
商品を探す気がある。何かあれば買う気がある。そんな「わざわざ客」を集めてください。