ライバル店の見学チェックポイントとマナー
【店舗見学のチェックポイント】
あなたの理想の店をつくるために、できるかぎりたくさんの店を見ておきましょう。
見るべきところは
・良いところ
・悪いところ(そのお店ができていないところ)
・あなたが勝てるところ
です。
店員の笑顔がいい。挨拶がいい。品ぞろえがいい。POPがにぎやかでセンスがいい。良いと思ったところは参考にしましょう。
反対に悪いところは真似をしてはいけません。そしてライバルに勝てるところがあれば、そこを徹底的に強化します。
相手が強い分野でぶつかる必要はありません。相手の弱いところ、相手のできていないところを攻めましょう。
個人店は弱みをなくすより、強いところを伸ばすほうが時間もかからずに効果がでます。
【大手チェーンにおける見学のマナー】
大手チェーン店なら、一般客の顔をして大人しく回れば問題ありません。
子供ではないのですから、複数人でいって騒いだり、無断で店内を撮影したり、店員に聞こえるよう店の悪口を言うのは絶対にやめましょう。マナー違反です。
買わないのであれば商品は大切に扱い、両手で持ちます。あまり長居せず、きょろきょろして万引きと間違えられないように気をつけてください。
【個人店における見学のマナー】
お店とは、商品やサービスを売買するところ。だから、お客様とは商品を買ってくれる人。
個人店の店主の時間は「お客様」にすべて使われています。
個人店は売ることに本気で必死。暇なように見えても、すべきことは山ほどあるのです。
個人店の見学のマナーは2つ。
・来店する前に相手の都合を確認する
・必ず、買う
この2つを守ってください。
とくに買わないなら店主と会話をしてはいけません。黙って店内を見て、できるだけ早めに出て行きましょう。見学だけならとくに事前連絡は不要です。
繰り返します。買わない人はお客様ではありません。
あなたは、ラーメン屋でラーメンを注文せずカウンターに座り「おたくのラーメンの作り方を教えてよ」と聞くような図々しいことはしませんよね。
けれどホビーショップだと、それを平気でやってしまいます。
わたしの店にも年に一人や二人、なんの連絡もなく突然やってきて、こちらの都合も考えずに会話を楽しむだけ楽しんで帰るひとがきます。もちろん、彼らは商品を買いません。
そのたびに「あー、この人はきっと商売をやってもうまくいかないな」と、わたしは心の中で思っています。
商売人は「結果」や「行動」で人を判断します。人の心の中は見えないし、わかりません。だから表面にあらわれた結果や行動で判断するしかないのです。
わたしに見えた彼らの行動と結果は「連絡もせず、こちらの都合も聞かず、いきなり店にやってきて自分だけ会話を楽しんだうえ買わずに帰った」しかありません。
買わないくせに情報だけ欲しがる、自分のことしか考えていないクレクレ君のアナタ。
どんなに店主が暇そうに見えたとしても「ちょっとだけなら大丈夫だろう」「今、大丈夫ですか」「お時間ありますか」なんて声をかけるのはやめてください。
会話は相手の時間を奪う行為です。役立つ情報が欲しければ対価を払いましょう。買うことで店主の機嫌もよくなって、裏情報や穴場を教えてくれるかもしれません。
なお「欲しい商品がなかった」「今度きたら買います」は、言いわけにもなりません。
ホビーショップの店主がお客さんに言われて、いちばん嬉しいのは「いつもブログ読んでます!」「ツイッター、フォローしてます!」ではなく(それも嬉しいけれど)、「これ、ください!」です。
大事なことなので繰り返します。
「これ、ください」が一番うれしいんです。
あなたも商売人を目指すのであれば、相手が何をされたら喜ぶか、相手が一番うれしいことは何かくらい、ちゃんと考えてから店に行くようにしましょう。
【馬の鼻先に人参をぶらさげるべし】
馬にやる気を起こさせるために、馬の鼻先に人参をぶらさげる。
すると馬は人参がほしくて一生懸命走ります。この表現は、やる気を示さない者に対して褒美をちらつかせてやる気を出させる、との例えに用いられます。
ある引っ越し会社の社長は「作業員に祝儀を渡すのなら、作業前に渡すといい」とアドバイスします。作業後に祝儀を渡すより、作業前に渡せば作業員がサービスをしてくれる、もっと頑張るから。
このことから、ホビーショップの店主からより有益な情報を引き出したければ「話を聞くまえに商品を買う」ようにしましょう。店主の「こいつ、本当に商品買うのかな。話し損にならないかな」といった不安もなくなります。
馬の鼻先に人参をぶら下げ、事前に話を聞きたいとアポイントをとってあれば、有益な情報がきっと手に入ることでしょう。
【おもちゃ屋の厳しい現状】
おもちゃの掛け率(仕入れ値)は、それほど高くありません。
わたしの扱っている美少女フィギュアは20%くらい。1万円の商品を売って、2千円の利益です。
最近は10%や5%なんてメーカーも登場しました。2万円の商品を売って千円の利益なんて、正直やってられません。
「2千円の利益ならいいじゃん」
あなたはそう思うかもしれません。でも、これは売れた場合。売れなければゼロどころかマイナスです。
7時間働いても時給にしたら、一時間あたり約300円。そこから家賃や光熱費、通信費、自治会費を支払わなければなりません。
たとえば家賃が4万円とします。掛け率が20%だと、月に20万円を売らないと家賃さえ払えないのです。
好きでお店を始めたけれど、売れずに毎月赤字。その赤字を埋めるために店を閉めたあとにアルバイト。そんな店主さんをわたしは何人も知っています。
個人店は決して道楽や暇つぶしで営業しているわけではありません。みんな生き残るために必死なのです。
個人店に行く時、あなたの頭の片隅にこの事実をとどめておいてください。