脱サラ起業で失敗する前に知っておくこと
会社員なんて、もう嫌だ。
好きなことだけやって暮らしたい。
自分で起業すれば儲かるぞ。
俺なら大丈夫だ!きっとやれる。
はい、そこのあなた。脱サラ(会社員を辞めて起業)しても失敗する人のほうが断然多いという現実をわかっていますか。
わたしは自分の店を開業して10年が経過しました。開業した当時は「一度の人生、好きなことをやろう」「雇われなんて嫌だ」「絶対に成功してやる」「儲かってウハウハだぞ」「俺ならやれる」と考えていました。
けれど、脱サラ起業は想像するのとやってみるのでは大違いでした。
会社員なら会社が守ってくれます。決められた時間内に決められた仕事をすれば必ずお金がもらえます。有給だってあります。苦手だったり嫌いな人もいるかもしれませんが、イジメられることもそうはありません。
別に脱サラしたことを後悔はしていません。けれど、もっと上手にやれたのではないかと反省することはあります。もっと下調べや前準備をしておくべきだった。もっと自分の強みを磨いておくべきだった。もっと顧客ターゲットを絞るべきだった。もっと店名を伝わるものにすればよかった。
あなたにはわたしと同じ失敗をしてほしくありません。ここでは会社員またはアルバイトのあなたが脱サラ起業で失敗する前に知っておくべきことをお教えします。
【プラスの気持ちで起業しよう】
どうしてもマイナスの気持ちが原因で起業や開業を考えてしまう人がいます。
・会社の人間関係に疲れてしまった
・毎朝、通勤するのがめんどうくさい
みたいな。
現状から逃げ出したい気持ちが強すぎて、よくも考えずに「起業すればなんとでもなる」「今よりはマシ」と焦ってしまいます。待っているのは失敗のみ。起業を考えるのであればプラスの気持ちでしましょう。
・○○が好きで好きでしかたない
・○○に一生囲まれて暮らしたい
・○○で儲けたい
・家族との時間をつくりたい
・○○が好きなひとを増やしたい
あなたに質問です。あなたはどうして「○○」で起業したいのですか。
【正しい情報を集めよう】
インターネットが普及し、たいていの情報は検索すればいくらでもみつかります。起業や開業も同じ。ヤフー知恵袋や教えてグーに質問すれば、親切な人が回答してくれます。
けれど、その情報が本当に正しいか見極める必要があります。もしかしたら、その情報は自分で開業もしたことがない素人のものかもしれません。
たとえばホビーショップ。正しい情報を集める基準は以下の3つ。
・自分で店をやっているか
・続いているか
・結果を出しているか
【どれだけ具体的に開業後をイメージしているか】
もう一度あなたに質問です。あなたはどんなホビーショップを開業したいですか。
・プラモデルもフィギュアもミニカーもある店
・美少女フィギュアのスケールモデルの品ぞろえなら秋葉原にも負けない専門店
成功する確率が高いのは後者です。
もしもあなたが銀行の融資係だとしたら、どちらがより具体的に開業後のお店をイメージしていると思いますか。本気で計画していると思いますか。わたしなら後者のほうが真剣に具体的に開業をイメージしていると考えます。
なぜあなたは○○でお店をもちたいのか。どうして○○でなければいけないのか。熱く、強烈に語れるくらいの答えをもってください。
副業で失敗する人の多くが「稼げるだろう」「儲かるだろう」という理由で仕事を選んでいます。せっかく自分で起業するのですから、「好き」という気持ちを前面に出すことを恐れてはいけません。
【マーケットは小さく狭く考えよう】
あなたはアニメグッズの専門店を開業しようと考えました。「アニメイトみたいなお店をもちたい!」と思っています。
はい、残念。あなたは間違いなく100%失敗します。
なぜなら巨像に真正面から戦いを挑むからです。アニメイトと同じ品ぞろえ、店員の人数、店舗を借りるのに、一体どれだけお金がかかるでしょう。オリジナル商品や特典、ポイントカードだって用意する必要があります。
はっきりいって個人では無理です。同じことはできません。なのにアニメイトと同じような店を作ろうとすればどうなるでしょう。品ぞろえはアニメイトより悪く、店員は少なく、店舗も小さい。オリジナル商品はなく、特典もない。ポイントカードだってない。
そんなお店のどこに魅力がありますか。アニメイトに行かず、あなたの店に行く必要性はまったくありません。プラモデルもフィギュアもあるけれど、すべて中途半端。そんなつまらないお店作りは大手に任せればいいんです。
農業でいえば、大手が安く大量に供給しているトマトをあなたが同じレベルの味・新鮮度・価格で参入しても勝てないのと同じ。大手とトマトで勝負したければ、大手にはない付加価値(栄養、味、作り方など)で勝負する必要があるのです。
アニメグッズならラバーストラップだけの店、クリアファイルだけの店なんてのもいいでしょう。デフォルメキャラ専門でもいいでしょう。メーカー品だけでなく、同人やオリジナル、お客様からデータをあずかって作るのもアリです。とにかく市場(マーケット)は小さく、狭く、深く考えます。
○○ならどこにも負けない!
その強み、個性(USP)のない店がお客様に選ばれることはありません。強烈な個性や強みのない店ほど、すべての人に好かれようとして、すべての人に嫌われるのです。あなたの店を嫌う人もいるけれど、大好きな人もいる。あなたが目指すのはそんな店です。
【売れるホビーショップに必要な3つの気】
売れる、売れているホビーショップには3つの気が存在します。これがない店は売れませんし、人も寄り付きません。
必要な3つの気は以下になります。
・本気(ガチ)
・元気(活気)
・売る気
です。
>>本気
これはお店の本気度を指します。本気度は売り場をみればわかります。並んでいる商品がなんでもかんでも中途半端なら、店主にもヤル気がありません。
逆に「これだけは負けない」「うちは○○専門店だ」というガチ度が伝わる店は売れます。買わないお客様を切り、買ってくれるお客様だけを相手にするからです。
>>元気
店員に笑顔がある。ヤル気がある。店に活気がある。お客様が店員と楽しく談笑している。いらっしゃいませ、ありがとうございます、が聞こえる店です。店に入るときも出るときも店員からの挨拶がない店は店ではありません。
>>売る気
店なのですから店主や店員の売る気がなければ始まりません。別に買う気のない、まだ買うものが決まっていない人にすぐ「売り込め!」ってことではありません。逆に売り込んではいけません。
買う人は黙っていても買います。売り込んだら逃げられます。むしろ愛想よく店員に話しかけてくる人には注意してください。あなたとの会話だけ楽しむだけ楽しんで何も買わないで帰る人を相手にしてはいけません。
接客はするけれど、接客はあくまでも買う気持ちがある、買う人にだけしましょう。そうでなければ、あなたは都合のいい人に。お店は都合のいい場所になって終わります。