お店とは。お客様とは。商売とは。
【商売の基礎知識】
ここでは商売の基礎知識を学びます。
自分の夢の城でもあるリアル店舗、ホビーショップの開業を夢見るあなたに質問です。
以下の質問に答えてください。
「お店とは、何をするところですか?」
「お客様とは、どんな人のことを指しますか?」
「商売とは、どんなことをしますか?」
はい、30秒間はしっかり考えてください。それでは答えを見ていきましょう。
【お店とは何をするところ】
お店とは、あなたが扱う商品やサービスを売る場所、買う場所です。
もちろん、あなたの好きな玩具や雑貨、商品を好きなように仕入れ、好きなように並べられる楽しい場所でもあります。
あなたのお店は、同じ商品を好きな人たちが集まる素敵な場所。ファンにとって心のオアシスになることでしょう。
けれど忘れないでください。お店を維持するには売上げがなくてはいけません。
リアル店舗には固定費である家賃、光熱費、通信費、自治会費など、黙っていても毎月必ず出て行くお金があります。
お店を続けるためには、売るという「行為」と、売上という「結果」が必要不可欠。
お店は友達の自宅でもありませんし、無料で会話が楽しめる休憩所でもないのです。
【お客様とは誰のこと】
お客様とは
・あなたが扱う商品やサービスを買ってくださる人
・買ってくれるお客様を連れてきてくれる人
・あなたの店を宣伝(応援)してくれる人
です。
それ以外は、冷やかし。お店に来た単なる「人」でしかありません。
あなたはお店をはじめた時から、あなたのお店を
・知ってもらう
・来てもらう
・買ってもらう
・そのお客様にリピーター(常連客)になってもらう
行動と結果が必要になります。
勘違いしないでほしいのは、わたしは「買わないのなら店に来るな」とか「買わない人間は客じゃない」と言いたいのではありません。
あなたがお金持ちで「趣味で店やってるよ」とか、道楽でお店をやっていて「売れなくても全然かまわないよ」ならかまいません。好きにやってください。生活かかっていませんから。
けれど、ほとんどのショップオーナーは生活がかかっています。いくら好きなことを仕事にしているとはいえ、遊びでやっているわけではないのです。
開業すれば、黙っていても店舗の家賃や光熱費、自宅のローンや家賃、生活費であなたの大切な貯金が消えていきます。
そして商品が売れなければ、問屋で仕入れることも支払いもできません。いつか家賃だって払えなくなります。あなたの貯金が底をついたら店は終わり。廃業です。
だからこそ、一番はじめに「お店とは何をするところか」「あなたにとってお客様とは誰か」をハッキリさせました。
【商売とは、どんなことをするのか】
インターネットの検索エンジンで「商売とは」で探してみました。
コトバンクによれば商売とは「利益をあげる目的で物を売り買いすること」とあります。
ホビーショップの開業も商売です。利益をあげなければ店を続けることもできません。
趣味で楽しんでいるあいだはよかったかもしれませんが、商売は物やサービスを売買し、利益をあげる結果が必要になるのです。
あなたは商売人にならなければいけません。
お客様が手に入れて喜ぶ商品を売り、感謝され、利益を手に入れる商売人になりましょう。
利益とは、お金。お金がなくてはお店を借りることもできません。商品を仕入れることもできません。
好きなことでお店をはじめるためには、「好きという気持ち」と「売るという行動」。どちらも商売人が捨ててはいけない、忘れてはいけないものなのです。
【嫌な人、苦手な人には売らなくてもいい】
とにかく1円でも安くしろ!
買わないけれど、何かくれ!
3か月前にここで買った僕は常連だよ。今日は何も買わないけれど雑談しよう!
半年後に発売される商品を予約したから俺は客。今週も買わないけれど2時間くらいオシャベリ相手をして!
買わないけれど、店に来た僕はお客様ですよ。僕の話、ちゃんと聞いてますか?
ホビーショップのトラブルの9割は「何も買わない人」がおこします。残りの1割は「買うけれどクレームをつける人」「苦手な人」「嫌な人」です。買わなければ切ればいいんです。
なんか、この人は苦手だな。
なんか、この人って嫌いだな。
そう感じる人にお願いしたり、頭を下げて商品を売るとどうなるでしょう。あなたは同等の立場ではなくなります。相手にとって格下の存在になります。
待っているのは、さらなる要求です。もっと安くしろ。もっとまけろ。俺は常連だぞ、言うことを聞け。
嫌な人、苦手な人に売って、売れたとしても結果的に嫌な思いをするなら、店にとってもあなたにとってもマイナスです。嫌な人、苦手な人に売るのはやめましょう。他店に行ってもらうのです。
この人、なんか嫌だし苦手だけど、いつか買ってもらえるかもしれないから雑談にも我慢して付き合おう・・・。残念ながら、そんな人の雑談に何時間つきあっても商品は売れません。
いつか売れるかもしれない。そんなあなたの下心は相手に丸わかりです。そこに彼らはつけこんできます。
せっかく好きなことを仕事にしたのです。嫌な人、苦手な人を相手にすることはありません。
【6H2Wでお客様を決める】
開業する前に決めておかなければならないのがお店のコンセプトです。簡単にいえば「どんなお店にしたいか」「誰をお客様にしたいか」が重要になります。
そこで6W2Hを明確にします。
・WHY(なぜ)
・WHO(誰が)
・WHOM(誰に)
・WHEN(いつ)
・WHAT(何を)
・WHERE(どこで)
・HOW TO(どのように)
・HOW MUCH(いくら)
がホビーショップ作りのコンセプトを決める基本です。
なぜあなたはホビーショップをやりたいのか。
誰が店をやるのか。一人店長か、家族とやるのか。スタッフは雇うのか。
誰と付き合いたいのか。どんなお客様に来てほしいのか。
いつ開業するのか。
何を売るのか。中古か新品か。定価か格安か
どこに店を構えるのか。
どのように営業するのか。営業時間は定休日はいつにするのか。
開業資金はいくらかかるのか。お金が足りないときはどうするのか。
ズバリ、お金がないと開業も継続もできません。始めてしまえばなんとかなる・・・なんて楽観視は危険です。資金を借りることばかり考えず、すべて用意できるまで開業をしない選択肢をもってください。
【開業することを友人や知人に教えるべきか】
開業するときは多くの人に知ってもらうために友人や知人にも教えるべきか。これはケースバイケースです。
わたしは親兄弟と親戚、いまも付き合っているオタクの親友以外には開業することを教えませんでした。
ラーメン屋やカフェのように店に入ったら注文せず店内に5分といられない飲食店ならともかく、ホビーショップの場合は「買わないけれど安心して顔を出せる」からです。じっさい、中学時代の友人や知人が来店しましたが昔話や選挙のお願いばかりで、誰ひとりとして買ってくれませんでした。
お店が生き残るには売上げが必要です。
買わない親戚や友人・知人より買ってくれる他人、買ってくれるお客様がいればいい。買わない人間の溜まり場になったり、つまらない昔話で時間を奪われるくらいならオープンすることを教えないほうがマシです。
【あるホビーショップの一日】
わたしの美少女フィギュア専門店・限定市場には、1日にだいたい5人から10人ほどの人がいらっしゃいます。
けれど、商品を買うのは10人のうち1人か2人。下手をすれば0人。ほとんどが冷やかしです。
ホビーショップは、飲食店のように「店に入ったら確実に売上が発生する業種」ではありません。どんなに店内に人がはいってきても。どんなに長時間接客しても、売上がゼロなんて日常茶飯事が現実です。
むしろ買わない人の話相手をさせられて、時間ばかりが過ぎるなんてしょっちゅうです。